長居はしない
　ツバメを撮るのをあきらめて、カメラを置いて着替えでもしようかと思ってその場を離れて間もなく ・・・ けたたましい鳴き声が聞こえた。　一瞬、アカゲラだと思ったのだが、間に合わなかった。

"Right time, Right place"
　報道カメラマンの人が ・・・ 名前は忘れてしまったのだが、ＮＨＫの 「スタジオパークからこんにちわ」 で ・・・ いい写真を撮るコツについて語っていた。

　先ず初めに撮りたいものがあること。　次に、いつごろ、どこで、被写体に相対すればよいのか、即ち "right time, right place" を念頭に、事前に現場を見ながら熟慮・調査する。

　cf. これも三現主義？



　その答えが首尾よく確信できると、もう、90％以上は成功したようなものだろう。　あとは、その現場で、その時を待ち、シャッターを切るだけである。

偶然の出逢いこそ至福の極み
　その理屈はよくわかるし、実際にいい写真が撮れるだろう。　しかし、私の基本姿勢は、その対極にある。

　写真に限らず何ごとも ・・・ 「偶然の出逢いこそ至福の極み」 とするものだ。　これでは、例え、いいカメラや腕を持っていたとしても ・・・ 写真でメシは食っては行けまい。



　それはそうなんだが ・・・ また、人に感動は与えられないかも知れないが ・・・ 計算づくではないものに ・・・ これまで何度も ・・・

　そうした偶然の出逢いに恵まれて ・・・ ほかの誰でもない ・・・ 自分自身が至福の時を得て来たという思いがあるのだ。

　cf. 出逢いもいろいろ
　cf. 突然なんてない？
　

　・・・ ところが、この撮り逃がしたアカゲラについて言えば ・・・ 翌朝も現れるだろうことは、事前に熟慮・調査するまでもなく、アホでもわかるだろう。

　まさに "right time, right place" の心地で待ち構えていたら、計算通りにアカゲラがやってきたのである。　ただ、昨日とは違って声を上げずに黙ったまま現れた。

　従って、気づくのが遅れた。　また、あれよあれよという間に姿を消してしまったのだった。　これはもう、いま流行の言葉でいえば "想定外" のこととして公言してもよかろう。　いい写真が撮れなかったのは仕方がない。

赤富士
　いつもなら、東名を走っていれば目を見張るような富士山を遠望できたのだが、今回はあいにくの曇り空で、どこにあるのかもわからなかった。

　それでも、山中湖畔を歩いているとき、何気なく見上げたら ・・・ いつの間にか雲が途切れていて、民家の屋根越しに富士山が顔を出していた。

　夏場の富士山は、風情がない黒っぽいものとばかり思っていたのだが ・・・ 赤く見えた。　北斎の赤富士も、まんざら誇張ではないかも知れない。

ほんのつかの間の赤富士　山中湖 2011/09/18　Photo by Kohyuh

　cf. アカゲラの渡り
　cf. アカゲラの食べもの
　cf. アカゲラの名前の由来
　cf. アカゲラの学名の意味
　cf. アカゲラの英名の意味