一瞬にして ・・・
　不思議なことに、つい十年ほど前のことだが ・・・ 即ち、バードウォッチングに興味を持ち始めた頃のことだが ・・・ カラスとカワウの区別も出来ず、また、アオサギも知らなかった。　それにもかかわらず、何故か、ヨタカの鳴く声は知っていたのである。

　当時は早朝のラジオで ・・・ 何という番組名だったか思い出せないが、日本の自然を紹介するもので鳥の声などを流していたようだ。　それを聞くとはなしに耳に入っていたものが、丁度、それと同じ鳴き声が外から聞こえて来たのである。

　そのあと、『ヨタカです』 というナレーションが入ったので、その 「ト・ト・ト・ト・ト・・・」 という鳴き声とヨタカが関連付けられたという次第である。

　・・・ 思い起こせば、それは突然のことではなかった。　深夜から朝方にかけてまで夜通し聞こえる不思議なその音の正体が何なのか ・・・ また、そのときは鳥の声だとは思っても見なかったのだが、かといって、虫や獣である筈もないと考えていたのだ。

　・・・ とにかく知りたいという思いが強くあったのは間違いない。　ただ、その知る術がわからないままに、いつしか脳裏に浮かぶことも無くなっていたのだろう。

　そのとき ・・・ラジオの音も、外の音も ・・・ 耳には入っていたのだろうが、その瞬間までは、脳としては実際には聴こえてはいなかったのだ。　言い換えれば、聴こうとしていなかったのだ。

　ところが、無意識下ではあるが脳が反応したのである。　一瞬にしてラジオのヨタカの鳴き声と、外から聞こえてくる鳴き声を 「ヨタカ」 として 同定 したのだ。

　このように脳が覚醒したあとから我に返って ・・・ あたかも突然に ・・・ 両方からヨタカの声が聞こえるようになったに違いない。


　cf. 探鳥 ・・・ 聴こうとしなければ
　cf. 突然なんてない？
　cf. クイナで思い出すこと

★渡り　*212-138
　ヨタカの繁殖地は、シベリア南部・南東部、パキスタン北東部、インド亜大陸北西部・北部・北東部、チベット南部・南東部、北西部・北部を除く中国、朝鮮半島、日本などで、冬場はミャンマー西部・北部・東部、タイ北西部・西武、マレー半島などに渡って越冬する渡り鳥である。




★食べもの　by Wikipedia
　ヨタカの食性は動物食で、主に昆虫を捕食する。




★名前の由来　*31
　ヨタカは平安時代から "よたか" として知られていた。　その名前の由来については記載がない。　まぁ、夜行性の鳥であるから、当時の人たちの気持ちが何となくわかるような気がする。